別　名 箕川城 所在地 茨城県水戸市見川 築城者 箕川長幹 築城年 鎌倉時代 廃城年 天正１８年（１５９０） 現　状 山林 遺　構 郭・土塁・空堀 移築建造物 − 再建建造物 − 史跡指定 − 評　価 　 　 　見川城は鎌倉時代に大掾氏の一族に連なる箕川四郎長幹が築いた城と伝わり、室町時代には大掾氏から水戸城を奪った江戸氏に接収され、春秋幹光の居城とされたという。春秋氏は江戸氏の家中でも重く用いられており、河和田城に春秋尾張守、長者山城に春秋駿河守、田谷城に春秋兵庫助が配置され、見川城と連携して水戸城の守りを固めていた。 　天正１８年（１５９０）に豊臣秀吉が小田原の北条氏を滅ぼすと、常陸は佐竹義宣に安堵されたが、義宣は江戸氏の居城である水戸城を奪い、敗れた江戸重通は結城氏を頼って落ち延び、春近氏の一族も主君とともに常陸を去り、やがては結城秀康の家臣となった。このときの戦いで見川城は佐竹氏に接収されたが、水戸城の西の備えとして使用された可能性がある。 見川城 城址碑 二の郭 三の郭　土塁 空堀 空堀 土橋 空堀 主郭　土塁 主郭　土塁 主郭　土塁 主郭　土塁 主郭 主郭南側　空堀 主郭南側　空堀 　赤塚駅から水戸城へと歩く途中、橋のたもとにある見川城を訪ねてみた。この日は快晴で放射冷却によって千波湖の湖面は厚い氷に覆われていた。水戸市内の多くの城に見られる墓石のような城址碑が建っていたが、肝心の見川城への入口が見当たらないので適当な場所から城内へ入ることにした。 　石碑の裏から土塁の上へ駆け上がったのはいいが、曲輪の内部は鬱蒼とした藪だった。正月でもひどい藪なので晩春から秋にかけての探訪は難しいだろうと思った。規模は大きくないが、遺構がとても良く残る城跡なので残念に思えた。このときからもう一度は訪ねてみたいと思っていたが、再訪するのに２０年もかかってしまうとは、さすがにこの時の自分も想像していなかった。 　久しぶりに訪ねた見川城だが、三の郭周辺は立入禁止のテープが夥しく張られていた。ちょうど地元の男性が散歩に出かける時だったので挨拶をすると、見川城のことはよく知っている様子だった。たまたまその人が練馬区に長く在住していたと知り、自分も同じように練馬区で暮らしていたので長い立ち話をしてしまった。 　荒人神社のあたりから登るとすぐに三の郭と主郭を隔てる空堀があったので、そこから堀底を歩きながら城内を探索したが、前回はほとんど見ていなかったので、とても新鮮な気持ちで遺構を見て回った。空堀の大きさは見事であり、このあたりは佐竹氏が接収した後にも改修の手が加わったのではないかと思った。三の郭は藪で覆われていたので堀伝いに二の郭を訪ねてから主郭へと入った。 　主郭は横矢がかけられた巨大な土塁が西側を囲んでいる。南側の土塁も高さがあって立派なものだったが、全体的に見て西半分のほうが手が込んでいる印象を受ける。南側は二重の空堀が備わり、東へ向かうにつれて土塁の高さは低くなるが、東側は急斜面となっているので、土塁を高く積み上げる必要性はなかったのだろう。 　２０年ぶりの見川城は大きな満足感を与えてくれる城だった。以前の評価はそれほど高くなかったが、一気に自分の中での評価は跳ね上がった。前回と比べて曲輪の雑木が少なくなっており、藪も消えてとても歩きやすかった。石碑はあるものの案内板がないのが不思議なほどで、水戸城と比べても遜色のない遺構を持つ城だと思う。 ＪＲ常磐線・水戸線・水郡線「水戸」下車　関東鉄道バス「赤塚駅」行で「好文橋」下車　徒歩５分 日本城郭大系／新人物往来社・茨城の古城／筑波書林・図説茨城の城郭／図書刊行会 2005/01/08・2025/12/13