別　名 − 所在地 茨城県稲敷郡美浦村木原 築城者 近藤利貞 築城年 応永元年（１３９４） 廃城年 慶長８年（１６０３） 現　状 城山公園 遺　構 郭・土塁・空堀・水堀 移築建造物 − 再建建造物 − 史跡指定 − 評　価 　 　 　木原城は応永元年（１３９４）に近藤利貞が築いたとされるが、いろいろと諸説があり古い時代の木原城の歴史はあまりわからない。永禄５年（１５６２）には江戸崎城主土岐氏が近藤義勝に木原城を委ねたという。天正２年（１５７４）には小田氏治の家臣江戸崎監物が佐竹氏に寝返ったために木原城は落城し、天正１１年（１５８３）には佐竹義宣の軍勢が木原城を攻め落としている。 　最後の落城は天正１８年（１５９０）のことで、土岐氏は北条氏に属したため佐竹氏の軍勢に攻囲され、開城した後の木原城は佐竹義宣の弟蘆名義広が城主となった。慶長５年（１６００）の関ヶ原の戦いで佐竹義宣は石田三成寄りの姿勢を見せたため、２年後に出羽へ国替えとなったため木原城は慶長８年（１５０３）頃に廃城となった。 木原城 稲荷曲輪 主郭　土塁 主郭 主郭　虎口 空堀と土橋 二の郭 二の郭　土塁 空堀 三の郭　南虎口 三の郭　土塁 三の郭 出丸 比高二重土塁と空堀 比高二重土塁と空堀 比高二重土塁と空堀 水堀 木原城からの眺望 　古い友人と千葉から茨城にかけて旅をした。美浦村と聞くと日本中央競馬会の美浦トレーニングセンターが思い浮かぶ。自分は若い頃に競馬が好きだったので美浦は何となく親しみのある土地だったが、実際に訪れたのはこのときが初めてだった。埼玉県からはずいぶんと遠いが馬の調教を行う場所だからそれも仕方がない。 　木原城もまた競馬場のように広々とした城だった。中心部には３つの巨大な曲輪が並ぶが、ひとつひとつの規模が大きく迫力が感じられる。その反面で複雑な起伏に乏しい感じがしなくもないが、それはそれで木原城の雄大さを物語るものであろう。夏の盛りだったが霞ヶ浦から吹いてくる風が心地良く、主郭にある展望台に登ると遠くに霞ヶ浦の水面が見えた。爽やかな風が吹き抜けて少しの間だけ暑さを忘れさせてくれた。何度か激しい争奪戦が繰り広げられた木原城だが、今はただのんびりとした時間が流れるだけだった。 　最初の訪問から１６年が過ぎた。連休の谷間にあたる平日に友人と木原城を訪ねることになった。大きすぎてあまり印象がなかった城だったが、稲敷郡とその周辺の城館は牧歌的な雰囲気と相俟って好きなので二つ返事で了承した。主郭まで車で乗りつけてからは二の郭と三の郭という順序で歩いた。ここまでは前回と同じである。 　道路で分断されている三の郭の虎口から出丸へと向かう。ここからは未知の領域となったが、さすがに５月だけあって草原は緑一色である。そこから斜面を駆け上がると鬱蒼とした森が広がった。前日までの降雨で足元の状態は良くなかったが、それでもめげずに土塁へ取りついた。ここが比高二重土塁と空堀で実に壮大な遺構だった。斜面を這い上がるときにスズメバチが飛んでいて戦慄が走ったが、まだこの季節は大人しいものですぐに飛び去った。そこから堀底へ下り遺構を見学したが、ようやく木原城の全貌を見ることができた。 　木原城は名城という評価が高いが、自分はそこまで印象に残っていなかった。それもそのはずで公園化された中心部だけを見ていたわけで、荒々しい中世城郭の姿を残す木原城の深淵に触れてやっとその魅力に気づいた次第である。藪から抜け出たときは汗びっしょりとなっていたが、吹き抜ける風が心地よかった。 関東鉄道龍ヶ崎線「龍ヶ崎」下車　ＪＲバス「布佐橋」行で「山戸丁」下車　徒歩５分 日本城郭大系／新人物往来社・木原城跡案内板 2008/07/20・2024/05/02