別　名 − 所在地 茨城県筑西市木戸 築城者 高師冬 築城年 興国２年／暦応４年（１３４１） 廃城年 興国４年／康永２年（１３４３） 現　状 山林 遺　構 郭・堀切 移築建造物 − 再建建造物 − 史跡指定 − 評　価 　井上城は南北朝時代に南朝の拠点となった関城に対して、攻城軍を率いた高師冬が築いた陣城という。小田治久が北朝へ寝返ったことを知った北畠親房が関城へ逃げ込んだのは興国２年（１３４１）のことなので、井上城もその年か翌年には築かれたはずである。 　単なる陣所の構えではなく、複数の曲輪と堀切などを備えた本格的な城砦だったとされ、これは広大な大宝沼を天然の要害とした関城と大宝城との戦いが長期戦になることを想定したためと推察される。興国４年（１３４３）に関城が陥落したことで、井上城もその役割を終えて廃城になったと思われる。 井上城 案内板 城址入口 主郭 主郭 主郭 堀切 堀切 二の郭 　関東鉄道常総線に乗車するのは久しぶりだった。大宮から小山で水戸線に、下館では常総線へ乗り換えるという鉄道旅のような城館探訪だが、１両編成のディーゼルカーに揺られるのもまた一興で、車窓から見える風景はまだまだのどかな雰囲気を残している。 　黒子駅で降りて最初に向かったのは井上城である。とりあえず駅から歩いて１０分少々の距離にあるので立ち寄った。地元の里山として整備されており、案内板まで設置されている。日本城郭大系などにも収録されていない城なのでありがたい配慮である。案内板の縄張図にあるような複雑な地形はもう見られないが、南端の主郭と思える台地はまだ残っていた。 　地元の小学生らが野外学習で訪れるような里山で、曲輪は綺麗に平らに均されていて土塁は見られない。主郭から降りると堀切、その向こう側に二の郭が連なるが、半分から北は削り取られて令和の日本の代名詞でもある太陽光パネルが敷かれている。その他の曲輪も圃場整備で失われているようで、東側の低地は大宝沼が入り込んでいたと想像される。全体図がわからないため想像を掻き立てるしかないのだが、案内板にもあるように、高師冬が関城を攻めるにあたり水軍を備えていた可能性はあると思う。 関東鉄道常総線「黒子」下車　徒歩１２分 井上城跡案内板 2025/02/01