別　名 駒館・駒楯城 所在地 茨城県下妻市黒駒 築城者 藤原実寛 築城年 南北朝時代 廃城年 興国２年／暦応４年（１３４１） 現　状 宅地 遺　構 土塁・空堀 移築建造物 − 再建建造物 − 史跡指定 茨城県指定史跡 評　価 　駒城は南北朝の争乱期に中御門少将と称された藤原実寛が築いた南朝方の拠点のひとつで、北畠親房と呼応して挙兵し立て籠もった。暦応２年（１３３９）に足利尊氏から常総の南朝勢力の掃討を命じられた高師冬は、最初に駒城の攻略に取り掛かったが、駒城の守りは堅く容易に落ちることはなかった。 　南朝も有力拠点である駒城を守り抜くため、春日顕国や関宗祐ら錚々たる顔ぶれが救援に駆けつけ、一度は師冬が夜襲をかけて駒城を陥落させて実寛を生け捕りにしたが、藤原軍の逆襲によって奪回されるなど一進一退の攻防が続いた。暦応４年（１３４１）に師冬は駒城に猛攻を加え攻め落とし、その勢いに乗って関城も落城させた。この戦いを最後に駒城は歴史の表舞台には登場してこない。 駒城 案内板 駒城址の碑 土塁 土塁 土塁と空堀 空堀 主郭の現況 駒の墓 　行き先は常総方面と決めていたが、当初の予定では海老ヶ島城を訪ねるつもりだった。下館駅で関東鉄道へ乗り換えて黒子駅に着き、手始めに井上城を訪ねたまでは良かったが、ここで思案して予定を変更し、方角的には真逆の駒城を訪ねることにした。鉄道路線からの距離はどちらも大差ないが、関城と大宝城を訪ねておいて駒城だけ未訪問のままにはしておきたくなかったのが理由である。 　途中で関城へ立ち寄ってから駒城へと向かったが、とにかく遠かった。関城からは１時間以上かけて歩いたが、途中で足の裏にいくつかの血豆ができてしまい、それを庇って歩いているうちに腰まで痛くなってきた。ここで引き下がるわけにもいかず、根性と執念で駒城へ到達することができた。 　駒城は早くに城域の大部分が失われていたようで、昭和３０年代の航空写真を見ても方形館の形こそ残しているが、その後の宅地化で北側の土塁と空堀を残すのみとなっている。北朝の度重なる猛攻に耐えた城だけに、副郭を備え湖沼を最大限に利用した城郭であったはずだが、その堅城ぶりを思い起こさせるほどの遺構はない。 　石碑と標柱に加えて案内板まで備わっているが、戦前から茨城県は皇国史観が強いので、南朝の拠点城郭の多くが文化財指定を受けている。石碑が土塁の上に建ち、その向こう側に空堀が残るが、樹木が伐採されたおかげで見やすい状態だった。ここから南東に駒の墓と呼ばれる塚がある。案内板がないために由来がわからないが、姫君や城主の愛馬を弔ったものではないらしい。周辺には駒城の戦いで討死した将兵を弔うための塚があるので、駒の墓もそうした慰霊の遺構なのだろう。 関東鉄道常総線「騰波ノ江」下車　徒歩１時間３０分 日本城郭大系／新人物往来社・駒城跡案内板 2025/02/01