別　名 − 所在地 千葉県成田市米野 築城者 − 築城年 − 廃城年 − 現　状 圓應寺 遺　構 郭・土塁 移築建造物 − 再建建造物 − 史跡指定 − 評　価 　米野城の歴史は不明であり、日本城郭大系などにも収録されていない。唯一の手がかりとなったのが余湖さんのＷｅｂサイトである。それによれば圓応寺の本尊である聖観音菩薩像は千葉貞胤の守り本尊と伝えられているという。米野という地名は近世まで存在しておらず、それまでは公津新田と呼ばれていたが、戦後に圓応寺の山号である米野山から町名がつけられたという歴史がある。 　つまり米野郷という土地はなく、米野という地名を名乗る武士も存在しなかったことになる。千葉貞胤とのゆかりから考えれば、やはり千葉氏かその一族に関わる城ということになるのだろう。米野城からいくつかの谷戸を越えた南西にある超林寺には貞胤の供養塔が下総式板碑とともに残されている。 米野城 腰曲輪 虎口 主郭 土塁 土塁 土塁 土塁 超林寺　千葉貞胤供養塔と板碑 　歴然と遺構が残り、その歴史や伝承の裏打ちを持つ城というのは全体のごくわずかであり、そのほとんどは土地でも知られていないような来歴の不詳の城郭ばかりである。遺構もなければ正確な所在地もわからない城を訪ねるのは徒労に終わることが多いが、そんな忘れ去れた城たちに光を与える変わり者がいても良いと思う。これからもそんな気持ちはずっと持ち続けていたい。 　米野城もまたまったくと言っていいほど知られていない城である。余湖さんをはじめごくわずかな方しか取り上げていない。そうなると自分としては俄然やる気が満ちてくる。当初は寺台城からそのまま京成線で宗吾参道駅へと戻り、鷺山城を訪ねて帰ろうと思っていたが、宅地化で完全に失われた殿台城へ立ち寄り、はるばる歩いて米野城を訪れた。 　実質的に無住の圓應寺がそのまま米野城の城域に当てはまるが、北西から丘へ登る道は風情があった。虎口と思しき開口部があり、小さな境内を土塁が取り巻いている。これだけを見れば立派な方形居館といった趣きであり、土塁もしっかりとした堅牢な造りだった。土塁の南側には農地が広がるが、土塁を境として見たときに畑よりも圓應寺の境内が低くなっているのが疑問に思えた。佐倉市に臼井屋敷という既に破壊された城館があったが、ここは周囲の土地よりも低い場所に遺構が存在していた。大げさに言えば穴城のような造りの居館もあるので一概に否定することはできないが、米野城はやはり寺院に伴う土塁のように思えてしまう。 京成成田空港線「成田湯川」下車　千葉交通バス「成田駅西口」行で「赤坂公園」下車　徒歩１０分 Ｗｅｂサイト／余湖くんのホームページ 2025/01/18