別　名 岩橋城 所在地 千葉県印旛郡酒々井町下岩橋 築城者 千葉輔胤 築城年 室町時代 廃城年 − 現　状 山林 遺　構 郭・土塁・空堀 移築建造物 − 再建建造物 − 史跡指定 − 評　価 　下岩橋城は室町時代に千葉氏宗家を滅ぼして当主となった馬加康胤の庶子輔胤が築いたとされる。輔胤は印旛郡岩橋村を領有して岩橋殿と呼ばれたというのが定説になっているが、千葉氏庶流の馬場氏の出身という説もある。後に千葉氏の２１代当主となったが、これについても脾摘的な見解があり、輔胤本人は生涯を通じて岩橋姓を名乗っていたという。 　岩橋城を居城として岩橋殿という敬称で呼ばれていたので、本来なら岩橋城と呼ぶべきだろうと思うが、酒々井町にはもうひとつの岩橋城があり、両者を区別するために下岩橋城と上岩橋城という呼称が使われている。文明１６年（１４８４）に輔胤は本佐倉城を築いているので、この頃に下岩橋城は廃城となったと考えられる。 下岩橋城 東尾根の平坦地 主郭　虎口 主郭 主郭　土塁 主郭　土塁 主郭　土塁 主郭　土塁 主郭　土塁 　成田市から酒々井町までを歩いた。駅から距離のある城跡ばかりだったので仕方がないが、徒歩だと疲れはするものの道中でいろいろな史跡に立ち寄ったり、気に入った風景があればしばらく逗留できるので、それはそれで魅力的である。 　小さな旅の最後となったのが下岩橋城だった。例によって周囲を徘徊してみるものの入口が見当たらない。北側の切通しから宗吾参道駅方面へ向かう道の途中でそれらしい道を見つけた。丘の上まで道がついていたが、その道は途中で消えてしまった。とりあえず丘の上まで直登するとそこが下岩橋城の主郭だった。 　いかにも館城といった雰囲気のこじんまりとした城である。規模からすると岩橋館と呼ぶほうが似つかわしい。周囲を土塁が廻るが、基底部の幅はあるものの高さはそれほどではなかった。空堀は雑草が生い茂りわかりづらい絵しか撮れなかった。一応は副郭となっているが、虎口前の曲輪がはたしてどこなのかわからないぐらい雑木が多く、冬場でも枯れない草に覆われていた。 　強烈な印象は残らない城だが、室町時代の館城の姿をよく残した城だと思う。千葉氏の有力者の城としてはずいぶんと小さな城ではあるが、当時の千葉氏は一族間の内紛もあってそれどころではなかったのだろう。その鬱積した気持ちを本佐倉城の築城に注いだのではなかろうか。帰りは宗吾参道駅まであっという間だった。駅から近い城でこれだけの遺構を残しているのは珍しいし、訪れる側としてはありがたい城である。 京成本線「宗吾参道」下車　徒歩１０分 日本城郭大系／新人物往来社・房総の古城址めぐり／有峰書店 2025/01/18