別　名 甘縄城 所在地 神奈川県鎌倉市城廻 築城者 北条早雲 築城年 永正９年（１５１２） 廃城年 元禄１６年（１７０３） 現　状 清泉女学院高校・宅地・山林 遺　構 土塁・堀切 移築建造物 − 再建建造物 − 史跡指定 − 評　価 　玉縄城は永正９年（１５１２）に北条早雲が築いた城であり、その背景には敵対していた三浦義同と扇谷上杉氏との連携を断つという目的があった。それから後も玉縄城は戦国時代を通じて北条氏一門が城主を務める有力支城となり、その配下には玉縄衆が組織された。 　大永６年（１５２６）に海を渡って鎌倉へ押し寄せた里見氏は玉縄城の堅い守りに手を焼き、小田原城へ進撃した上杉謙信と武田信玄も玉縄城の堅城ぶりを前に攻めることを思いとどめた相模屈指の名城であるが、天正１８年（１５９０）の小田原の役では、豊臣の大軍の前に太刀打ちできず開城した。玉縄城を守った北条氏勝は降伏して徳川家康の家臣となり、家康の謀臣本多正信が１万石で玉縄城主となったが、当時の正信は上方にいることが多かったと思われる。その後も玉縄藩の居城として存続し元禄１６年（１７０３）に廃城となった。 玉縄城 本丸 本丸　諏訪壇 七曲坂 七曲坂 武者溜まり跡 太鼓櫓 太鼓櫓 硝煙蔵　堀切 龍寶寺 龍寶寺砦　堀切 龍寶寺砦　堀切 岡本砦 玉縄の首塚 玉縄城からの眺望 　関東七名城のひとつに数えられる玉縄城はほとんど見る影もなく破壊されている。跡地には女子高が建設されてしまい周辺も宅地化が進んで名城の痕跡は失われている。玉縄城へ初めて訪れたのは高校生のときだった。このときは学校の正門へは行かず七曲坂付近を歩いただけだった。昭和の時代は今ほど物騒ではないから、民家の脇を抜けて曲輪を見たり堀切を眺めたりすることができた。高校２年の春休みに再び訪れる機会があり、このときは早朝で守衛もいなかったので正門脇の諏訪壇へ登って遠くに見える海を眺めた。 　３３年という長い歳月を経て玉縄城を再訪した。ほとんど遺構が残らないこともあり食指が動かなかったが、最近になって地元の人たちが整備に着手したということもあって訪れてみたくなった。しかしながら早朝からいくつかの城を歩き回った疲労と、思ったより蒸し暑さを感じたこと、この日はなぜかやたらと道路工事が行なわれていて、何度か迂回させられて気分的に乗り気でなくなってしまい、七曲坂や相模陣まで登ることなくあきらめた。 　５年ぶりの訪問では七曲坂を上がり整備されている太鼓櫓跡とその直下に残る硝煙蔵の堀切を見た。整備中のために立ち入ることができないのがとても残念だが、実際に整備される日が来るのかどうか少し疑わしい。中心部はこれぐらいにして龍寶寺の周囲を馬蹄型に取り囲む砦跡を歩いてみた。ここはまだ手つかずの遺構が残されていて、幅の広い堀切に驚かされた。城下には里見氏との合戦で討死した将士を弔う首塚があり、玉縄城の在りし日を偲ぶことができる。 ＪＲ東海道本線・京浜東北線・横須賀線「大船」下車　神奈川中央交通バス「清泉女学院」行で終点下車　徒歩１分 日本城郭大系／新人物往来社 1986/03/01・2019/05/28・2024/11/14