別　名 端城 所在地 山梨県南アルプス市宮沢 築城者 富田範良 築城年 戦国時代 廃城年 − 現　状 工場 遺　構 − 移築建造物 − 再建建造物 − 史跡指定 − 評　価 　富田城は大井氏が居城としていた上野城の支城で、戦国時代には富田対馬守範良が城主だったと伝わる。永正１２年（１５１５）に武田信虎が富田城を落城させ、それを契機として大井信達は信虎に臣従し娘を正室として嫁がせた。この戦いは富田城のみならず、上野城でも戦いが展開され、足かけ３年に亘る争いとなった。 　大永元年（１５２１）に駿河の今川氏親は信虎が国人衆の反抗に苦戦する様子を見て、福島正成に１万５千の兵を授けて甲斐へ出兵させた。この戦いでも富田城は落城した。勢いに乗る今川勢は古府中の目前まで進出したが、世継ぎ誕生で気勢の上がる武田勢が今川勢を打ち破り、戦場から敗走して富田城へ入り降伏し駿河へ帰国した。その後の歴史に富田城は登場することがなく、このときの戦いで廃城になったと可能性がある。 　富田城は滝沢川流域に存在したとされるが、その跡地は工場が建ち並び痕跡を残していなかった。元々が氾濫原ということもあり、早くから遺構は失われていたことが予想されるが、今では工業誘致によって地形すらも完全に失われてしまった。 　幸いにして富田城が存在したと思われる比定地に顕彰碑が建てられており、おおよその位置を知ることができる。周辺には的場や御前という地名が残っていたことから、所在地については石碑が建つ付近であったことは確かなようである。この日に訪れた城館はは山城を除けばほとんど遺構が残らない場所ばかりだったが、そのほとんどに石碑や案内板が設置されていてありがたかった。 ＪＲ中央本線「竜王」下車　南アルプス市バス「東花輪」行で「戸田宮沢」下車　徒歩１５分 甲斐の山城と館／戎光祥出版 2025/01/03