別　名 − 所在地 山梨県甲府市山宮町 築城者 山宮信安 築城年 室町時代 廃城年 − 現　状 青松院 遺　構 − 移築建造物 − 再建建造物 − 史跡指定 − 評　価 　室町時代に山宮民部少輔信安が構えた屋敷である。信安は武田信満の子として生まれ、山梨郡山宮を領有し山宮氏の祖となったが、父信満は上杉禅秀の乱に加担して敗れ自刃し、信安の兄で武田氏の嫡男信重は剃髪して高野山へ下るなど、この頃は武田氏にとっては受難の時代が続いていた。 　青松院の寺伝によれば信安は明応元年（１４９２）の合戦で落命したと伝えているが、この年は武田信昌が長男の信縄に家督を譲ったにも拘わらず、次男の油川信恵への家督相続を望んだため、武田氏一門と国衆を巻き込んだ甲斐騒動が起きた年である。この争いで信安は討死を遂げたのかもしれないが、信安の父信満は応永２４年（１４１７）に自害しているので、信満の最晩年に信安が生まれたと仮定しても、討死したときには７０歳を超えていたことになるので、この伝承には無理があるように思う。信章は大永２年（１５２２）に武田信虎の助力を得て、父信安の屋敷跡に青松院の開基したと伝える。 青松院 青松院　仏殿 青松院　庭園 　日も暮れかけてきた頃に甲府市の青松院を訪ねた。ここが武田氏一門の山宮氏が屋敷を構えた地であることは以前から知っていたが、甲府駅から遠いことと遺構も残っていないことから、永らく訪ねる機会がなかった。 　立派な山門をくぐり抜けると仏殿がある。古式ゆかしい建物だが再建されたものだろう。山宮氏の屋敷だったことを示すものは、本堂にぶら下げられた屋敷跡の看板と青松院の由来を記した石板だけだった。本堂の裏には室町様式を模した庭園が造られているが、屋敷の遺構とは無縁のようだった。 　境内には習字の教室があり、ランドセルを背負った小学生が教室へと入っていった。自分が子供の頃には習字や珠算の教室が街にいくつもあったが、今もこうした習い事があるのかと感心した。武田氏の全盛期の象徴でもある躑躅ヶ崎館は青松院と湯村山城を挟んだ正反対にあるが、山宮氏が屋敷を構えたのは武田信虎が古府中を拠点とするよりも前のことであり、甲斐の動乱を避けてこの地に屋敷を構えたのではなかろうかなどと想像を巡らせつつ境内を散策した。 ＪＲ中央本線「甲府」下車　山梨交通バス「伊勢町営業所」行で「山宮北」下車　徒歩５分 武田一族のすべて／新人物往来社・Ｗｅｂサイト／青松院の歴史 2025/12/18