別　名 − 所在地 山梨県北杜市須玉町東向 築城者 三枝昌吉 築城年 元和８年（１６２２） 廃城年 寛永９年（１６３２） 現　状 八幡大神社・農地 遺　構 土塁・空堀 移築建造物 − 再建建造物 − 史跡指定 − 評　価 　三枝土佐守昌吉は三枝虎吉の子として生まれ、兄には武田二十四将に名を連ねる三枝守友がいる。天正３年（１５７５）に守友が討死すると、昌吉が家督を継ぎ、天正１０年（１５８２）の武田氏滅亡後は徳川家康に仕えた。 　以後は徳川氏の旗本として活躍し、天正１８年（１５９０）の小田原の役後は、家康に従い関東へ移住した。このときに昌吉は上州那波で１万石の知行を宛がわれたが辞退したという。大坂の陣では旗奉行を務め、元和８年（１６２２）に甲府藩主となった徳川忠長に付き従い、６千石を与えられて当地に屋敷を構え、寛永元年（１６２４）に昌吉は７５歳で生涯を終えた。寛永９年（１６３２）に忠長が改易されると、子の守昌も所領を募集されたが、後に赦免され安房で１万石を与えらえて大名となった。 三枝土佐守昌吉屋敷 八幡大神社 土塁と空堀 土塁 土塁 土塁 　久しぶりに山梨県北杜市の城館を訪ねたが、その大半が初めて訪れる場所ばかりであり、とても充実した旅となった。ここまでで３箇所の山城に登っていたため、それ以降は平地の館や屋敷跡を中心に訪ねることとなり、その流れで三枝土佐守の屋敷跡へと立ち寄った。 　八幡大神社の境内はとても清楚で美しい。その北側に土塁が残り、道路となった堀跡も残されている。屋敷の中心部は神社の北東にあたる農地であるが、神社もまた屋敷の一画を占めていたと考えられる。やや陽射しが傾きかけた中で、誰もいない静かな屋敷跡を散策するのは、まさに至福の時間であり贅沢なひと時である。 ＪＲ中央本線「韮崎」下車　山梨交通バス「増冨温泉郷」行で「東向下」下車　徒歩５分 甲斐の山城と館／戎光祥出版 2025/12/18