別　名 − 所在地 富山県高岡市古城 築城者 前田利長 築城年 慶長１４年（１６０９） 廃城年 元和元年（１６１５） 現　状 高岡古城公園 遺　構 郭・石垣・土塁・水堀 移築建造物 − 再建建造物 − 史跡指定 国指定史跡 評　価 　 　 　高岡城は加賀百万石の二代目となった前田利長が築いた城である。利長は慶長１０年（１６０５）に弟の利常に家督を譲り富山城で隠棲していたが、慶長１４年（１６０９）に富山城は火災によって大半を焼失したため、一時的に魚津城へ移り江戸幕府の許可を得て高岡城を築いた。 　縄張は前田家に客分として迎えられていた高山右近によるとされていたが、実際には前田家の主導によって行われたらしい。それまで関野と呼ばれていた地名は高岡と改められ、利長は新たな居城で隠居生活を送り慶長１９年（１６１４）に高岡城で亡くなった。 　翌年の元和元年（１６１５）に一国一条玲が発布され高岡城は廃城となったが、小松城を再興することが許可された。このように短命で終わった高岡城であるが、廃城とされた後も加賀藩によって管理され、米蔵や火薬庫が置かれて事実上は前田氏の支城としての機能を有していたという。 桝形堀 駐春橋 二ノ丸　水堀 二ノ丸　護國神社 土橋と石垣 土橋と石垣 本丸　水堀 本丸　水堀 本丸　水堀 本丸　土塁 本丸　土塁 本丸 明丸　水堀 三ノ丸　水堀 三ノ丸　井戸 三ノ丸　土塁 小竹藪 池ノ端堀 　一泊二日の北陸の旅は福井県から始まり、石川県を経て富山県で終わりを告げた。福井県にはこれまでに一度だけ訪ねたことがあったが、石川県と富山県は人生で最初の訪問だったので、見るものすべてが新鮮に感じられた。小学校時代に高岡から転校してきた同級生ととても仲が良かったが、２年も経たずして父親の転勤で再び高岡へ戻ってしまった。短いつき合いだったが、とても濃密な時間を過ごすことができたので、高岡の街に降り立ったときにふとその旧友のことを思い出した。もはや遠い遠い昔の話である。 　高岡駅から高岡城までは多少歩くが、見ず知らずの街を散策するのは楽しいので、それほど時間のことは気にならなかった。高岡城の水堀が見えてくると、ほっとすると同時に堀の規模の大きいことに少なからず感動した。 　高岡城は前田利長の隠居城として築かれた城だが、とても実戦的な縄張りをしている。この時代はまだ戦国の気風が色濃く残っていたし、大坂城にはまだ豊臣家が健在だったので、隠居城と言えども実戦を想定する必要があったのだろう。また富山城で火災に遭ったこともあり、堀幅を広くしたいという意向も少なからずあったと思う。 　三ノ丸はスポーツセンターや飲食店などが建ち並んでおり、小竹藪は広々とした公園という雰囲気だが、水堀越しに眺める本丸はとても美しい光景だった。金沢では雷雨に遭遇したが、高岡では青空も広がり、紅葉した樹木が堀に映る様は風景画のようだった。本丸には射水神社が祀られており、七五三詣りの親子連れの姿が微笑ましい。 　土橋を渡り二ノ丸へと向かうが、この土橋は両面を石垣で被覆されている。高岡城で唯一残る石垣の姿は雄々しいものがあった。二ノ丸からは朱塗りの橋を渡って高岡市街へと戻ったが、駅までの道程は細く折れ曲がる路地をたどり、いかにも城下町らしい袋小路などもあってとても楽しかった。 あいの風とやま鉄道「高岡」下車　徒歩２０分 日本城郭大系／新人物往来社・城郭と城下町／小学館 2025/11/28