別　名 尾山城・尾上城・金城 所在地 石川県金沢市丸の内 築城者 佐久間盛政 築城年 天正８年（１５８０） 廃城年 明治４年（１８７１） 現　状 金沢城公園 遺　構 郭・櫓・門・石垣・土塁・水堀 移築建造物 門 再建建造物 櫓・門 史跡指定 国指定史跡 評　価 　 　 　加賀百万石の居城として知られる金沢城は加賀一向一揆の拠点である尾山御坊が存在した。天正８年（１５８０）に佐久間盛政が尾山御坊を攻め落とし、その跡地を自らの居城として金沢城と名づけた。 　天正１１年（１５８３）の賤ヶ岳の戦いで柴田勝家を滅ぼした羽柴秀吉は、勝家の配下にありながら戦場から撤退し、北庄城攻めで秀吉に協力した前田利家を金沢城主とした。利家はキリスト教を棄教できず改易された高山右近を招き金沢城の改修を行い、文禄元年（１５９２）には利家の嫡男利長が高石垣と百間堀を築き、北陸を代表する巨大城郭へと改修した。 　慶長５年（１６００）の関ヶ原の戦いで利長は早くから徳川家康に恭順の意を示し、実母の芳春院を家康へ人質として差し出し、西軍に属した大聖寺城の山口宗永、小松城の丹羽長重と交戦し、戦後は家康から所領を安堵され、百万石という大封を得た。慶長７年（１６０２）に落雷によって焼失し、その後は天守に代わる三階櫓が建てられた。 　前田氏は百万石の石高を誇る外様大名であったが、一国一城令が発布された後も、隠居城として小松城の再興が許されるなど、江戸幕府からの信任は厚く、加賀藩だけでなく一門は大聖寺藩、富山藩、上野の七日市藩の立藩を認められた。江戸時代を通して大きな波風を立てることもなく、幕末になっても佐幕派としての立場を取ったが、が鳥羽・伏見の戦いで幕府軍が敗れると新政府に帰順し明治維新を迎えた。 大手　石垣と水堀 大手門　石垣 河北門と脇櫓 河北門 二ノ丸　石垣 二ノ丸　石垣 菱櫓と五十間長屋 橋爪櫓と五十間長屋 橋爪櫓 石川門脇櫓 石川門 石川門 鶴ノ丸 鶴ノ丸 東ノ丸 橋爪門 本丸石垣と極楽橋 本丸石垣 三十間長屋 三十間長屋 本丸　黒門 薪ノ丸 南側の石垣 鼠多門 　加賀百万石の金沢城はどうしても訪ねてみたい城のひとつだった。前日の一乗谷館と丸岡城はまずまずの天候に恵まれたが、翌日は天候不順に見舞われ、金沢駅から金沢城へ向かうときには雷雨となった。 　金沢駅からはかなり距離があるが、バスに乗るほどのこともないので徒歩で向かった。途中で雨脚が強くなり気持ちが萎えたが、金沢城の水堀と石垣が見えてきた頃には雨は止んだ。あまりにも巨大な城で見どころが多すぎるため、できるだけ要点を絞って回ることにしたので見落とした場所も多いと思うが、とりあえずは取りこぼしもなく見て回ることができたと思う。 　今回の旅はどれも素晴らしい城との出会いばかりだったが、金沢城はその中でも桁外れの規模と遺構を備えていた。現存建物も数多く残されており、また復元された建物も多く見応えについては申し分がない。震災の影響で石垣は至るところで修復中だったが、ストレスを感じるほどのことはなかった。二ノ丸御殿の復元工事のために五十間長屋の背後に巨大なテントが張られていたのは残念だったが、生憎の曇り空のおかげで白いテントはそれほど目立たない。 　現存遺構の石川門はとても気品を感じさせ、同じく現存遺構の三十間長屋も圧倒されるほどの大きさを誇る。また年代ごとに積み方が異なる石垣を見て回ることができるのも金沢城の魅力であろう。薪ノ丸から南側へ下りたが、そこから眺める石垣はもう圧巻であり、途中からは飽きてしまうほどの石垣の連続である。復元された鼠多門を見て金沢城に別れを告げることになったが、天気の悪いことを差し引いても改めて訪ねておいて良かったと思える名城だった。 ＪＲ北陸新幹線・ＩＲいしかわ鉄道「金沢」下車　徒歩３０分 日本城郭大系／新人物往来社・城郭と城下町／小学館 2025/11/28