別　名 蝮塚城 所在地 静岡県袋井市浅名 築城者 小笠原長高 築城年 明応年間（１４９２〜１５０１） 廃城年 天正１０年（１５８２） 現　状 諏訪神社・宅地 遺　構 郭・土塁・空堀 移築建造物 − 再建建造物 − 史跡指定 袋井市指定史跡 評　価 　 　 　馬伏塚城は明応年間（１４９２〜１５０１）に今川氏に仕えた小笠原長高の居城とされる。長高は信濃守護で松本城の前身である深志城を築いた小笠原貞朝の長男として生まれたが、貞朝は長高を疎んじて次男の長棟を後継者としたため、長高は尾張へ出奔して吉良義堯に仕えた後、駿河守護の今川氏親に仕えた。遠江浅羽荘を与えられた長高は馬伏塚城を居城として遠江小笠原氏の祖となった。 　永禄１２年（１５６９）に徳川家康が遠江へ侵攻すると小笠原氏はその傘下となり高天神城主となるが、天正２年（１５７４）に武田勝頼が高天神城を攻囲すると小笠原信興は家康に援軍を要請するも、高天神城に救援の軍勢は送られず信興は降伏した。遠州の要衝である高天神城が武田氏の手に渡ると、家康はすぐに馬伏塚城を改修し、高天神城攻めの最前線基地として大須賀康高に守らせた。 　高天神城の包囲網が狭められると康高はさらに敵地に近い横須賀城へと移り、馬伏塚城には高力清長が配置されたが、武田氏が滅んだ天正１０年（１５８２）に清長は駿河田中城主となり、馬伏塚城は廃城となった。 馬伏塚城 主郭　虎口 主郭　堀跡 主郭　土塁 主郭　土塁 主郭　土塁 主郭　土塁 馬出曲輪 北曲輪 北曲輪　土塁 居館北側の堀切 案内板 　横須賀城の見事な遺構をたっぷりと味わったあとは袋井駅へ戻りつつ、途中にある城郭に立ち寄りながら歩いたが、どうしても見ておきたかったのが馬伏塚城だった。遺構はほとんど残されていないが、高天神城攻めの最前線拠点として知られている城でもあり、前々から訪ねたい城のひとつであった。 　湿地帯の浮かぶ島々を利用して築かれた平城だが、、堀はすべて埋め立てられ南側の一部が水田となって残るに過ぎない。居館部と北曲輪も大部分が宅地化されてしまっているが、北曲輪には民家の庭先などに土塁が点在しており、これらを探し歩くのは楽しい時間となった。堀切は道路となっているが、その形はかろうじて残されている。 　最南端の主郭とされる部分は諏訪神社の境内を中心として土塁がとてもよく残り、その規模を見るにつけ徳川勢がいかに馬伏塚城の改修に力を入れたががよくわかる。案内板によれば北曲輪が小笠原氏時代の馬伏塚城であり、北側の居館部は徳川勢が駐屯したときに増築されたものと想定している。ここから北には詰め城とされる呑吉山砦があるが、平城の馬伏塚城は眺望が利かないであろうから、呑吉山砦が監視所としての役割を果たしていたのだろうと思う。 ＪＲ東海道本線「袋井」下車　秋葉バス「大東支所」行で「大庭」下車　徒歩１５分 日本城郭大系／新人物往来社・静岡の山城をベスト５０を歩く／サンライズ出版・馬伏塚城跡案内板 2025/12/09